ここ数年で、シート性能の重要さに気づく人が多くなってきました
みなさんはどうですか?
シートに不満があるのに加工を後まわしにしていませんか
車両のカスタムは進んでも、シートはまだまだという人はたくさんいます
そんな状況でメーカーが作ったシートは、ホントに多くの人が乗りやすいようにつくられているのでしょうか?
『 答えはNOです 』
シートに不満を感じている人は数多くいます
なぜなら私自身がそんなシートを加工し続けているからです
初めましてNAN^2です
シート加工はバイクを乗る人によってさまざまです
過去累計70000を超える加工実績を持ち、いま現在も1年で5000ものシートを加工し続けています
その中でもアンコ加工に関しては、業界でも右に出るものはいないんじゃないかと思います
この記事は
お客の要望を第一に考え、経験と知識で最高のシートを作り上げるために日々精進している
私が詳しく解説していきます
今回のシートはHONDA GROM (JC61後期 / JC75)
この車両に乗っている人の多くは、同じ問題をかかえています
結論から言うと
お尻の痛さ、ヒザの曲がりのキツさ、可動域のせまさ
それ、すべてアンコ加工をすることで解消できるのです
ではどんな方法で解消するのか、シートの特徴も含めて解説していきます
それではいってみましょう
グロム シート解析をする
シートの性能
体にもっとも接するバイクパーツとしてシートがあげられます
したがってシート形状によってはその車両の性能を最大限ひき出すこともでき、もちろん低下させてしまうこともあります
グロム (JC61後期 / JC75)のシートはどうなのでしょうか?
- ニーグリップしやすい細身の形状
- 前傾姿勢で乗るときは座面後方の段差が効果的
- 二人乗りをしても安定感がある
- 足つきはまったく問題がない設計
悪いところが目立つグロムのシートですが、すべてが悪いわけではないんですよ
車両で見ると…
取り回しが良く燃費も良い
加えてデザインが良くカスタムパーツも豊富、ミニバイクにとって言うことなし
しかし、シートには良い部分もあれば悪い部分もあります
これを知っておくと今後のシート加工、張り替えにきっと役に立つはずです
その悪い部分とは…
グロムのシート
はっきりいって硬すぎだろ!!
JC61前期型がスゴく硬くてメーカーも少しは改善してくると思ったら、まったくできてないよ
フロントとリヤの高低差をつけることによって、可動域が狭くなってるから逆に乗りにくくなってる…
シートのクッション性が悪いことに加えて膝の曲がりがキツすぎ!
これじゃ長距離ツーリングができないよ!!
ではホントにそうなのか表皮をはがしてアンコの形状を見てみましょう
当然ですが、ここからではシートの硬さはわかりませんよね…
ここでグロムのシートスペックを解説します
《アンコの厚み》
ライダー側 座面【4cm】
タンデム側 座面【5cm】
アンコは硬めに成形されている
※JC61前期型はさらに硬めでした
ライダー側は足つきに問題はなく、ニーグリップしやすくサイドがシャープな形状
タンデム側との高低差をつけ、お尻が後ろへズレないような形状になっている
ここでは同カテゴリーの車種とアンコの厚みを比べてみましょう
車種名 | ライダー側 アンコの厚み | タンデム側 アンコの厚み |
HONDA GROM (JC61後期 / JC75) | 4cm | 5cm |
KAWASAKI Z125 | 6.5cm | 5cm |
アンコの材質の硬さに加えZ125と比べるとアンコの厚みも薄いことが分かります
実際の数値を見ていただければいかにクッション性がないことがわかります
アンコが薄いことも原因の一つですが、それに加えて気密性が高いことも硬さに大きく影響しています
これによって、みなさんがよく知っているあの痛さが発生するのです
そうなんです
『 グロムのシートはものすごく硬いので、ほぼ間違いなくお尻が痛くなります 』
みなさんが知っているあの車種のシートも、じつは絶対的にアンコ加工が必要なんです
どんな加工が必要なのか知りたい人は下の記事をご覧ください
シートの特徴
ここではシートの細かい部分を見てみましょう
使用している生地はノンスリップに近い素材ですね
滑りやすい、よくある純正表皮と比べると十分合格点です
HONDAは数年前から車種によって、防水のためのビニールシートが入っています
グロムのシートにも入っていることを知っていましたか?
しかし、このビニールシートが硬さの原因の1つになっている可能性があるのです
ビニールを貼るときに使う接着剤がアンコに染み込むことによって、その部分が硬くなっているのです
全てのシートに言えることではありません
多くのシートを見てきた私としては、HONDAの車両に多い傾向があると感じます
グロム アンコ加工をする
では一体どんな加工をすると、問題が解決するのでしょうか?
アンコ抜き&アンコ盛り
『クッション性を上げたいのもあるけど…可動域が狭いこともなんとかならないかな?』
ほとんどの方はこの2つの問題を解消しないと快適にバイクに乗ることができないのです
では、アンコ抜きとあんこ盛りを合わせた加工をしてみましょう
リヤのアンコ抜きは、ライダー側とタンデム側の段差を2cm下げ、そこから後端が約5mmほど残るように抜きます
ラインの感じでアンコを抜くと、このような形状になります
次にフロントのアンコ盛り、座面を最大4cm上げます(※ 1番くびれているところが4cm)
アンコ盛りをすると、このような形状になります
この加工をすると高低差がなくなり、もともとの厚みに最大4cmプラスされるのでクッション性も上がります
フラットになっているので可動域も格段に良くなるのでオススメです
みなさん、表皮は被っていませんがこの形状…どこかでみたことありませんか?
アンコ盛りをしてフラット形状のシートをつくるとき、何を参考にしていますか?
みなさんが希望するシート…
それが、この形なのです
シートを取り付けると後端が先端より高いので、少し前傾斜になります
前傾斜をなくし地面と水平にすることもできますが、アンコの抜きと盛る量がかわります
ちなみにJC61前期型をフラットにアンコ盛りをすると
こんな形状になります
シートに段差がないので、先端と後端をつなげるようにアンコを盛ります
困った時の対応策
『アンコを盛ってクッション性が上がるのはいいんだけど、硬いアンコで盛りをしたらやっぱり硬いままじゃ…』
せっかくクッション性が上がったと思ったらそれはないですよね…
ではシートの内側に内蔵するゲルやジェル素材を使った加工があります
ゲルやジェル加工はアンコで使われるウレタンフォームより優れた性能を発揮します
それは振動を吸収したり、シートに座ったときの圧力を分散できることが大きなメリットになります
アンコ盛りは数種類のウレタンを使い分けている業者であれば、硬めのものは避け標準的な硬さを選びましょう
ベースとなるアンコが硬いので柔らかすぎるアンコを盛ると、そのベースの硬さが伝わってしまうことがあります
しっかり相談して決めましょう
最近では、どの張替え業者も異素材を使用してクッション性をあげる加工を取り入れています
ゲルやジェル素材、低反発や高反発のクッション材などさまざまな材料があります
しかし感じ方は人それぞれなので、確実にどれが効果があるとは言い切れませんが1つだけあげるなら…
プロトから出ているゲルザブをオススメします
ゲルザブは、ゲル座布団の略で販売開始から10年以上経つロングセラー商品です
品質、性能に結果があるからいま現在も選ばれていると考えます
シートの中に内蔵できるのはこの2タイプ
シートの大きさや加工したい箇所によってサイズが変わります
加工ができる範囲内であれば、埋め込み位置を指定できます
ゲルザブを埋め込みした場合は高さが変わらないので、フラット形状はたもたれます
クッションと可動域が広がって、さらにクッション性をあげるのであれば
『 フラット加工 + ゲルザブ埋め込み = 最強シート 』
をつくってみてはどうでしょうか
グロム 加工後の感想
では実際にフラット加工やゲルザブ加工した人たちはどう思っているのでしょうか?
これからやろうと思っている人は参考にしてみてください
- 座面がフラットになって、どこにでもポジションがとれるようになった
- 以前より断然にクッション性があがった
- 座り心地がいい
- 前ズレも心配なし
- ゲルザブ加工してさらに座り心地があがった
- 形状もカッコイイ
文句なしの結果です
まとめ
バイクは乗る人によってシートの快適性が異なるなか、多くの人が不満を感じてしまうシートも存在します
メーカーが作ったシートがいいものばかりとは限らないので、自分にあった加工を選択しましょう
今回取り上げたグロム (JC61後期 / JC75)、シートの加工提案は以下のとおりです
- シートが硬いと感じたらクッション性をあげる加工をする
- クッション性をあげる方法は、アンコ盛りとゲルザブ加工がある
- アンコを抜き、盛りをしてフラットシートをつくろう
- フラットになると可動域が断然に広くなる
- リヤを抜いてフロントを盛る場合、盛り量は+4cm
- 最強シートをつくるなら、フラット加工 + ゲルザブ加工
- いろんなクッション材があるが、オススメはゲルザブ
- 加工して損はなし
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